新国立劇場の「こうもり」が始まった。

 「一番好きなオペラは?」と訊かれたら、一つでは収まらないので二つ三つあげざるを得ないのだが、その中に入るのが、この「こうもり」。名曲だ。オペラというか、オペレッタなのだが芝居を挟んで演奏される16曲ほどのナンバー、どれもがキラキラの宝石のようである。

 オーケストラに入団して以来、何十回弾いただろう、まったく飽きない。飽きないどころか、毎回ただただ楽しい。入団してすぐの頃は二期会さんの旅公演などで、「メリーウィドウ」や「カルメン」などと同じく、日本語での上演を何度も経験した。今でもその日本語の歌詞の方がふとアタマに浮かんだりする。斉藤忠生さんの名フロッシュも懐かしい。。。。

 久しぶりの今回は、新国立劇場初登場のマエストロ・フランクリンのタクトの下。アメリカで生まれベルリンで育ち、奥様はイタリアの方、というマエストロは英独伊語織り混ぜて的確、雄弁なリハを展開、すでに二回の本番を終えた。序曲に始まり本編中にもたくさんある、例の?ウィンナワルツのリズムだが、マエストロからは「よくやるような、2拍め極端に早めに、ってのはやらないで!自然に」との指示。そして、絶妙の棒捌きでそのカンジを見せてくれるので、とても弾きやすい。ワルツの2、3拍目というのは、これはヴィオラ弾きにとって一番オイシク、楽しく、やりがいがあって、かつ一番ムヅカシイ重要なミッションなので、ここがバッチリ決まるだけでオケ・ヴィオラ弾きとしての数年分の幸せをまとめて味わえるくらいのもんなのである。

 登場人物のキャラ立ちがこのオペレッタのポイントでもあるわけだが、プログラムノートによれば、各人の設定は舞台の背景である当時の世相を巧妙に織り込んだものであるらしい。厳然と身分制度がある時代というだけでも、これを現代に置き換えてかつ普遍的なテーマを浮き上がらせようとすれば、ともすると陳腐なものになりかねないが、この眩い音楽の「深い懐」がすべてを包み、身分や国籍、職業、性差などを超えた普遍的な何かを心地よく観せてくれる。麻薬的に。

 二幕、オルロフスキー男爵邸で繰り広げられる宴会中のバレエは、東京シティバレエ団。弾くのに忙しい場面で💦なかなか舞台を見られず残念なのだが。振り付けの石井清子先生はなんと我が母の同級生、疎開先で中学時代を共にしたというご縁。これまでも新国立劇場ではアイーダやトスカなども担当され、今回初日のカーテンコールでもお元気なお姿を拝見できまたご一緒できることも、光栄であり嬉しいことの一つ。

 さて、明日夜は3回目! 楽しみ♡❗️

tacaco

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