東北ユースオーケストラ東京公演終了。例年、坂本龍一監督が来日し参加されてきたが今年は体調のこともあり、リハや公演をリモートで見ていただき、細かな指示や意見をいただくというやり方。今日もゲネプロ時にはバランス等についての指示をくださったり、逆に最終日ということで代表楽員がカメラ越しにメッセージを、みんなの謝意を伝えるという場面も。

コンサートは教授が東北ユースのために書き下ろした「いま時は傾いて」で始まる。テーマが「鎮魂」であることはリハの際に柳澤マエストロからも伝えられた。リルケの詩集から「時が傾く」という言葉にinspireされた、とのこと。失われたものを悼む気持ちは確実に音楽が生まれる動機である、と。曲の途中に現れる11拍子は取り返せない喪失感と焦燥の入り混じった緊張があった。包み込むような冒頭の和音に、それだけで涙が出そうだった。

続いて吉永小百合さんの朗読に合わせ「Kizuna-World2014」と「Aqua」。吉永さんが今回のために選んだ詩たちに合う楽曲を教授が選んだとのこと。当時11歳、気仙沼の小学生だった菊田心さんの「ありがとう」という詩、「文房具、ありがとう」に始まるこの詩は「おじいちゃん見つけてくれてありがとう さよならすることができました」と結ぶ。初日ののんさんの淡々とした表現にも、今日の吉永さんの丁寧な表現にもどちらにもグッと心を掴まれてしまい、弾き続けるのに一瞬気持ちを立て直さなくてはいけない箇所だった。

風化させてはいけない。

マーラーの5番は大曲で、なんと言ってもやはり難しい。いくら若いとはいえ合宿も含め1週間以上のハードな行程はキツかったはず、にもかかわらずみんな最後まで諦めず高みを目指していた。よい演奏だったと思う。私自身としてはいろんな意味で思い入れが強すぎて少々力んだ音を出してしまったことを反省。それでも、マーラーの5番はまた一段と縁を感じる一曲になった。

その場、その時間を共有できた幸せ、一緒に音楽できたこと、みなさんに、教授に感謝です。

さて、ゆるゆると心を鎮めて

おやすみなさい。よい夢を。。。

tacaco

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