西谷国登先生のリサイタル・リハ2回目、だん。楽譜のチェックやボウイングなども一通りおさまりがつき、いよいよ深いところに着手、といった今日のリハ。マエストロ・鈴木を中心に、自発的な試みが重ねられる。来週の本番が楽しみ。
さて、逝ってしまった大切な人のことだ。
出会いはもう数十年も前になる。旧店舗にて、ご紹介いただいて初めて会ったその人は、まるでもう数世紀も私を知っているかのように私を迎えてくれた。やっときたか、とでもいうように。業界では異端というか、通常のステップを踏まずに活動している私に対しても真っ直ぐに目を見て、必要なこと、大切なこと、そしてあるべきようにあるためには何が必要なのか、そしてそれが阻まれることの多い現実にも泰然と向かう姿勢で当たってきたご自身の来し方行く末を語ってくれた。それが大きな励みとなり、惹きつけられ、話が尽きず、赴けばいつも軽々と半日が過ぎた。
弓や楽器の突発的な不調にはぶつぶつ言いながらも無理無理時間外にも対応してくれた。厄介な、私の友人の頼み事にも応じてくれ深夜まで処置をしてくれた。ピエンロー鍋やパスタ、寿司や沖縄料理、ご馳走になり、何を忘れてはいけないかを問わず語りの中でたくさん教えてもらった。
忙しさにかまけ、年に何回かしか訪れることのできなかったここ数年だが、本当は毎日でも通って、用事がなくても会いたかった。本心だ。今年初め、その人のお誕生日付近に訪れたのが最後になってしまった。楽器に魔法をかけてもらい、最近始めたというお手製の松脂を2個、購入した。よい卵をお土産にしたのだが「ありがとう!カルボナーラ作るよ!」と言ってくれた。卵は果たして療養中の彼のひとのカラダのためになったのか。。。
大切な人を失ったのは私だけではない。私のCapicchioni もその主治医を失った。
ここ数週間の私自身の危機の中、会いたいし、ご心配かけるけれど会って報告しようと思っていた矢先の訃報。
あの声が耳から離れない。早口の「はいドンマイヤーです。」
合掌。