先週は二本、映画を見た。covid-19による自粛ムードが始まりかけた3月頃、久しぶりにぷらぷらとシネコンに「パラサイト 半地下の家族」を見に行って以来だ。1本目は「れいわ一揆」。最近よく視聴しているYouTube番組・一月万冊での強いオススメに煽られて初日初回のチケットを素早く予約。他にどんなのやってんのかな〜、と上映館のサイト内で見つけたのが2本目「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」。

「れいわ一揆」はドキュメンタリー映画の鬼才・原一男監督による、なんと4時間越えの大作。昨年7月の参院選にれいわ新選組から立候補した安冨歩さんの動きを軸にカメラが選挙戦を追う。私自身この参院選は、縁あって或る候補者の選挙事務所にボランティアで通い詰めるという生まれて初めての経験をした選挙だったので、時系列的に様々な思いを重ねながら味わうことになった。本来なら春に公開予定だったが、むしろ今になっての公開がこの映画にとって幸せ、というか真価をより見せつける結果になったのではないか。二人の参議院議員当選を果たしながら、その後思わぬ迷走を見せているれいわ新選組に「あの時」何が起こっていたのかを今振り返ることができるのはありがたい。あの熱狂を淡々と捉えることで却ってカメラは雄弁にうねりをスクリーンに拡げる。安冨さんは表現者だ。こういう人が政治の場にいるような世の中は、誰にとっても優しいだろうに。

2本目「赤い闇」、原題は ”Mr.Jones”。実在のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズを描く。いつの世も本当のことを言う奴は消される、、、という腹立たしい事実が描かれる。世の中は複雑、触らぬ神に祟りなしさ、長いものに巻かれろ、それが大人だよ、立場をわきまえろ、本当の事を知ったところで言ったところで何も変わらんよ、損するだけだよ、バカだなあ、イカれてる、うまく立ち回ればいいのに、、ってな言葉で彼を切り捨てた唾棄すべき社会が描かれる。今も何も変わらない。ガレスの仕事ぶりは憧れだ。文字通りの命がけだ。

安冨歩「生きる技法」(青灯社)、読了。「れいわ一揆」で確信したように安冨さんはアーティストである。自由なのである。選択の自由はお金があれば得られるかもしれないが、そもそも選択を迫られている段階で不自由w。選択を迫られたら逃げる、避けられぬ場合は心の声に従う。腹にすとんと落ちる言葉の連続。芸術の一端に関わる者として、常に携えておきたい言葉をたくさんいただいた。

週末に、幼なじみの墓参。「幼なじみ」と言えるほどの近しい付き合いではないかも?だが、幼稚園から高校まで同じところに通ったのでそう言っても許されるだろう。亡くなったことを知らず、昨年同窓の友人と会った折にふと話題になり、聞かされた。近年、と言ってももう数年前に何度か仲間内の飲み会で会ったときには昔と変わらず穏やかな、落ち着いた口ぶりで、それでもかなり景気の良いペースで杯を干していた。元々口数の多い人という印象はなかったが、「今度(演奏)聞きに行くね」「うん、ゆっくり話そうね」などと。思えばいろいろな、大きなものを抱えて過ごしていたのだね。。。立派なご一族の墓所にようやく荷を下ろして、お母さまと心安めてください。また行くね。中華でランチ。話は尽きず、、、。

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